教科書も実践も重要

教科書で勉強するのが重要ですが、自分でやってみるのも重要です。
解説を見てわかったと思っても、実際にやってみると、やり方がなかなかわからないのでしょう。

以前日本語を勉強する時、単語の意味や文法、助詞、助動詞の使い方など、わかりやすく解説しているので、理解できたと思いました。


ある日、日本人の友達に手紙を送ろうと思って、はじめての日本語手紙を書き始めました。
その時、文法はどうなっているのか、接続詞をどうすればいいのかを、かなり悩んでいました。
教科書を調べたり、辞書を引いたりして、ようやく300字ぐらいの文章が完成しました。

半日ぐらいかかりました。

実は私たちはよく体験していると思います。
例えば数学の問題、教科書の解け方を見て、「その通りだ」と思っても、他人に説明する時、どう説明すればいいのか、わからなくなるのでしょう。

実践も重要です。
座学で知識を蓄えてから、実際に行動させるのは、教育の方法論としては世界でも似たような慣習なのかもしれません。

しかし、弊害はあります。
頭でっかちの理論派が出てくることですね。
実体験も無いのに、さも実際にやってきたかのような口ぶりで、持論を展開したりするタイプの人のことです。

そういうタイプは、現場での失敗の経験が無いために、対処方法に具体性が欠けていることが多いので、すぐに使い物にならないとわかります。

プラスとマイナス

大学生の頃、家庭教師のアルバイトをしていました。
姉、姉、弟の三兄弟を担当していたのですが、その中で一番勉強が出来たのは真ん中の子でした。
その子が小学校5年生の時から中学校1年生の時まで勉強を見ていたのですが、大きくつまずくこともなく学習を進められていました。

その子に教える中で、一番印象に残っているエピソードが、中学校に入ってすぐの数学で、「正の数負の数」を教えた時の話です。
マイナスとマイナスが重なるとプラスになる、ということが理解できない、とその子は言いました。
確かに、とりあえずそういうものだと理解して、文字上で機械的にプラスにしていくこともできますが、その原理や理由が分かってこそ、きちんと定着したとも言えると思います。
しかし私自身も「とりあえずそうなる」と覚えたので、分かりやすく教えるにはどうすればよいか、少し考えました。
結局、その子は身体を動かすことが好きで元気なタイプだったので、身体を使って考えてもらうことにしました。
私はこんな説明をしました。
まず、ある方向を向いて立った時、自分の前をプラス方向、自分の後ろをマイナス方向とします。
また、前に進むことをプラス、後ろに下がる(前を向いたままバックする)ことをマイナスと考えます。
マイナスとマイナスが重なる、ということは、まずマイナス方向を向いて、そこからマイナスの数の分だけ後ろに下がるということです。
最終的に自分が居る場所を見てみると、プラスの方向に歩数分進んだところに居るはずです。
これがマイナスとマイナスが重なるとプラスになる原理です。
身体を使って考えさせると、その子もすんなりと理解が出来たようでした。
教科書に載っていることを教えるだけでなく、どうやれば分かり易く定着するだろうか、と考えて、それが上手くいったことは、自分の自信につながりました。
ただの学生のアルバイトでしたが、きちんと仕事をしたなぁ、と感じたエピソードでした。

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